1500の直列4気筒エンジンは、VWやオペルがOHVだった時代に、早くもOHC方式を採用。最高出力は、45〜50psのタイプ3やレコルトに対して、それを大きく上回る80psをマークしていた。足回りは、当時のFR車はリーフスプリングで吊ったリジッドアクスルのリアサスペンションが一般的だったが、BMW1500はコイルで吊った独立懸架、しかもいち早く、セミトレーリングアーム式を用いた。
4輪独立懸架を備えた1500は、当時のサルーンとしてはトップレベルのフットワークを持っていた。そのため、1トンを超える大柄なボディに対して、1.5リットル・80psのエンジンは「力不足に感じる」という声が出てきた。
BMWはこれに応えて、2年後の63年に90psの1800を追加。翌64年には、1500を1.6リットルの1600に進化させ、キャブレターを2基に増やして110psにした高性能版、1800TIを追加する。TIは“ツーリング・インターナショナル”の頭文字で、その後のBMWではおなじみの名称になった。