ランサー・エボリューションは、世界ラリー選手権(WRC)への参戦ベース車として、いまや世界的に知名度の高いモデルである。日本ではライバルのスバル・インプレッサWRX・STIや日産スカイラインGT−R、ホンダのタイプRシリーズらと並び“スーパースポーツ・ブランド”の代表車として人気を博している。
海外での評価も非常に高く、競技への参加者だけでなく、欧州のハイパフォーマンスカー愛好家から一目置かれており、1stモデルのデビュー後から輸出を望む声は多かった。そのため三菱は、エボリューション[から輸出を開始している。
ランサー・エボリューションの系譜は、ベースとなるランサーに合わせて3世代(第1世代〔エボリューションT〜V〕、第2世代〔同W〜Y〕、第3世代〔同Z〜\〕)に分類できる。ギャラン・フォルティスをベースにする新型エボリューション](テン)は、第4世代に当たる。
新型の開発コンセプトは「誰もが気持ちよく、安心して“高次元の走り”を楽しめる新世代ハイパフォーマンス4WDセダン」。メイングレードのGSRには、クラッチ操作が不要なセミATのツインクラッチSST(以下TC・SST)と横滑り防止装置のASCを搭載。運転の容易さを向上させてユーザー層を広げることを目指し、“GT志向”を強めている。
この背景には、海外のスポーツカーが動力性能と日常性を併せ持つ方向に進んでいる市場動向や、モータースポーツに市販車そのままのエクステリアや装備で出場するカテゴリーが少なくなったという事情がある。しかし、市販車により近い、グループNクラスの競技ベース車は必要なため、エアコンなどの快適装備を省いたRSグレードは、引き続きラインアップする。
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